中野・シャーペッグ・ミュージック・カンパニーのボイストレーナーLEE(@BRAD_LEE19)です。
あなたは普段歌の練習をどのようにされてますか?
カラオケでの上達を目指すにしても、プロのボーカリストを目指すにしても、正しい練習をしなければ当然歌は上手くなりません。
歌とは目に見えないものだからこそ、本当は正しい練習を地道にこなす必要があるのですが、それとは反対に「歌は才能が全て」「歌は練習しても上手くならない」という風に勘違いをされてる方が非常に多く、練習が軽視されがちです。
という事で今回は、ボイトレにおける正しい練習法を徹底解説し「これが出来れば必ず歌が上達する」というメソッドをお伝えしたいと思います。
是非この記事を読んで、なるべく毎日練習をしてみて下さい。
そして「練習をすれば歌が上手くなる!」という感覚を掴んで頂けたら幸いです。
少々長い文章になりますが、どうぞ最後までお付き合い下さい。
【ボイトレ】発声の基礎から応用までを徹底解説!【正しい発声方法と理論の説明】
目次
◆はじめに
◆そもそも正しい発声ってどういうもの?
・正しい発声を覚える事で生まれるメリットとは?
◆正しい呼吸を覚えよう
・なぜ腹式呼吸は駄目なの?
・よくある間違ったメソッド
・本当に正しい発声をする為には、具体的にどこに息を入れたら良いの?
◆支えの技術を身に付けよう
・具体的な技術の説明
・「息は吐き切らなきゃ吸う事が出来ない」というメソッドについて
・息で維持出来るようになったら、次は声に出して練習してみよう
◆正しい姿勢を覚えよう
・背中は丸くするけど首は真っ直ぐ
・体が反り返ってしまったり、顎が上がってしまうのは絶対駄目
・正しい姿勢の結論
◆喉を開ける為の技術を身に付けよう
・喉が開いてる状態って、生理的にどういう状態?
・なぜ喉は開いてなければいけないの?
・喉を開ける方法
・喉を下げる事と、軟口蓋を上げる事の両方を意識して練習しよう
◆まとめ
はじめに
私がこれからお伝えする発声メソッドは、あくまで「正しい発声法」です。
例えばカラオケで歌を歌うと言っても、カラオケには様々なジャンルの曲があります。
それは、J-POPであったり、ロックであったり、またミュージカルや洋楽など・・・
ジャンルによって発声も違います。
ですが、私がお伝えしたいのは、基礎は全て同じだという事。
基礎を身に付け、正しい発声を覚えて、その範囲の中で自由に歌って頂きたいという事です。
基礎を覚えれば、どんな曲でも、どんな歌い方でも出来るようになります。
それをご理解頂き、最後までご覧頂けたら幸いです。
そもそも正しい発声ってどういうもの?
正しい発声とは、生理的に考えて最も理に敵った発声の事です。
これを覚える事で様々なメリットが生まれます。
正しい発声を覚える事で生まれるメリットとは?
- 喉に疲労を感じなくなる。
- 一日に長時間歌えるようになる。
- 喉を壊す危険性が圧倒的に減る。
- 死ぬまで元気な声で歌えるようになる。
- 音程が良くなる。
- 声が大きくなる(声が響くようになる)。
- 歌が安定する。
- 高音が楽に出せるようになる。
- どんな曲でも歌えるようになる。
- カラオケでスターになれる。
ご覧のように、正しい発声を覚える事にデメリットは一つも無く、メリットしかありません。
カラオケでスターを目指す方も、プロのボーカリストを目指す方も、是非正しい発声法を身に付けて頂ければと思います。
正しい呼吸を覚えよう
呼吸とは、正しい発声を覚える上で最も基礎的な技術です。
しかし決して簡単なものではありません。
日々の練習で上達するようになるものなので、必ずコツコツ練習するようにしましょう。
そこでまず始めにご理解頂きたいのですが、、、
腹式呼吸という考え方は捨てて下さい。
なぜ腹式呼吸は駄目なの?
腹式呼吸というと、多くの方が下腹を中心にお腹だけを膨らませるイメージを持っていますが、それは間違いです。
そもそも歌を歌う上で呼吸というのは、ただ息を吸う為にある訳ではありません。
息を正しい場所に入れ、その息を利用して、声を体で支えなければいけません。
それはお腹、脇腹、背中で支えるものであり、お腹だけで支えられるものではありません。
よくある間違ったメソッド
よく「寝ながら息を吸ってる時は腹式呼吸になってるから、その感覚で息を吸ったら良い」という教えが昔からありますが、これも間違いです。
確かに胸式呼吸では胸や肩が上がってしまい、声を体で支える事が出来なくなります。
しかし先程も申し上げたとおり、お腹を膨らますだけでは本当に正しい発声には繋がりません。
むしろそれだけでは、声の響きが低くなり、声が奥にこもってしまう危険性すらあります。
本当に正しい発声をする為には、具体的にどこに息を入れたら良いの?
まず息は胸に入ってはいけません(胸が膨らんではいけません)。
何故かと言うと、胸で声を支える事は出来ないからです。
息は肋骨(あばら骨)のすぐ下を中心に、丹田まで深く入れられるようにしましょう。
【丹田(たんでん)とは?】
へその下の所で、下腹の内部にあり、気力が集まる所とも言われています。
その際、お腹だけが出っ張るのは間違いです。
必ず脇腹、背中も膨らむように訓練をしましょう。
特に背中に息を入れる事はとても大切です。
なぜ背中に息を入れる事が大切なの?
それは背中に息を入れる事で、喉が開くようになり、高い響きを得られるようになるからです。
初心者の方々にとって、体の後ろ側を使うという感覚が掴めるようになるには、ある程度の時間がかかるものですが、正しい発声とは骨盤から背骨、うなじ、後頭部を通って額から発せられるものです。
その為には背中に息が入らないと、このような道筋で声を発する事ができません。
なので、必ず背中に息が入るように日々訓練をしましょう。
どうやったら背中に息が入るようになるの?
練習法としては、背中を「く」の字に曲げて練習をすると感覚が掴みやすくなります。
背中は丸くする事で、背中に息が入りやすくなるので是非試してみて下さい。
呼吸に関連する記事と動画です。
こちらも是非ご覧ください♪
支えの技術を身に付けよう
息が正しく吸えるようになったら次は支えです。
支えは安定した声を作る為の手段であり、体に負荷をかける事で喉を守る手段でもあります。
それは正しい呼吸法を覚える事から始まり、体に入れた息をどう扱うかが重要となります。
これが出来れば喉の力は自然と抜け、喉で歌っている感覚は無くなり、体だけで歌っている感覚が芽生えるようになります。
具体的な技術の説明
まず先程も申し上げたように、息をお腹、脇腹、背中に入れます。
そして息をゆっくり吐くのですが、その時に息で膨らませたお腹、脇腹、背中がしぼまないように維持をしましょう。
息を吐きながらしぼまないようにするって、生理的に不可能じゃない?
息は丹田から少しずつしぼんでいき、最後にお腹、脇腹、背中が残るので不可能ではありません。
ただこれも始めから維持をするのは難しいので、毎日の練習が必要になります。
「息は吐き切らなきゃ吸う事が出来ない」というメソッドについて
このメソッドも昔から常識化されているものですが、完全に間違いです。
歌とは、吸った息を体の中でどのようにコントロールするかが非常に大切です。
なのに息を吐き切ってしまったら、支えは無くなり、フレーズの最後は声と体が連動しない状態になってしまいます。
これでは体をフルに使って声を出す事ができません。
吸った息は声を支える為に、フレーズの最後もある程度残ってなければいけません。
というよりも支えの感覚が覚えられれば自然とそういう状態になるので、この「息を吐ききる」という考えは捨てるようにしましょう。
息で維持出来るようになったら、次は声に出して練習してみよう
まずは音階練習で少しずつ、支えの感覚を掴めるように訓練をしましょう。
声を出す時はもちろん息を吐きながら練習をしてた時と同じ体の使い方です。
この時に、喉に力は一切入れないように注意して下さい。
支えの感覚だけで歌う事を覚えなければ、喉声は治りません。
特に高音域は喉に力が入りやすく、喉を消耗させる一番のポイントになりやすいので、力強く支えるようにしましょう。
そうする事で喉が開いてる状態が維持できるようになり、喉の消耗も軽減することが出来ます。
(喉の開け方については後ほどまた詳しくご説明させて頂きます)。
支えに関連する記事です。
こちらも是非ご覧ください♪
支えの技術についてYouTubeチャンネルでも説明してます。
是非ご覧ください♪
正しい姿勢を覚えよう
正しい姿勢とは、支えやすい姿勢であり、声に障害の無い姿勢の事です。
その為にはまず、真っ直ぐな姿勢が基本です。
そしてその状態から、背中に息を入れる為に、ほんの少しだけ背中を丸くします。
背中は丸くするけど首は真っ直ぐ
この時に気を付けて頂きたいのが、首は必ず真っ直ぐにしなければいけないという事です。
背中を丸くする事で、首が下を向いてしまったらいけません。
理想は背中に息が入る事で、自然と背中が少し丸くなる事です。
なので背中を丸くする事が重要というよりは、あくまで背中に息を入れる事が重要だという事をご理解下さい。
体が反り返ってしまったり、顎が上がってしまうのは絶対駄目
初心者の方々を見ていると、高音域で体が反り返って、顎が上がってしまう方が多いのですが、これは絶対に駄目です。
体が反り返ってしまうというのは、声を体で支えていない証拠です。
先程も申し上げたように、声は骨盤から背骨、うなじ、後頭部を通って額から発せられるものです。
これは、背中を少し丸くする事で得られる感覚であり、反り返ってしまったら完全にこの道筋は無くなってしまいます。
なので体は真っ直ぐ保ち、反り返ることが無いよう意識をして練習しましょう。
正しい姿勢の結論
体はほんの少しだけ背中を丸くするけど、基本は真っ直ぐ。
首も真っ直ぐ保ちましょう。
姿勢に関連する記事と動画です。
こちらも是非ご覧ください♪
喉を開ける為の技術を身に付けよう
まず、歌を歌う時というのは、低音域から高音域まで喉が開いてなければいけません。
喉が開いてる状態って、生理的にどういう状態?
喉が開いてる状態とは、喉が下がっていて、軟口蓋が上がっている状態の事です。
軟口蓋ってどこ?
口蓋垂(こうがいすい、のどちんこ)がくっついている柔らかい所です。
なぜ喉は開いてなければいけないの?
理由は以下の通りです。
- 体と声が繋がるようになるから。
- 声が響くようになるから。
- 声帯の疲労が最小限に抑えられるから。
では一つずつ説明をしていきます。
1.なぜ喉を開けて発声をする事で、体と声が繋がるようになるの?
体と声が繋がった状態というのは、お腹や背中で声を支えている状態であり、いわば体に負荷をかけながら歌っている状態の事です。
体に負荷をかけながら歌う為には、まず喉が下がっていないと、負荷をかける事ができません。
逆を言うと喉は下げる事で、お腹や背中との支えに繋がり、体に負荷がかかるようになるという事です。
「喉を下げれば支えられるようになる」という訳ではありませんが、喉が下がらなければ支えられるようにはなりません。
なので声と体を繋げる為にも、喉を開けるように努めましょう。
2.なぜ喉を開けて発声をする事で、声が響くようになるの?
それは喉を開ける事で、体の中に共鳴腔が生まれるからです。
【共鳴腔とは?】
声を発した時に体の中で反響する空間の事です。
【歌う時に最も重要な共鳴腔】
- 喉頭腔(喉の空間)
- 口腔(口の中の空間)
- 鼻腔(鼻の中の空間)
歌う時は喉を開け、これらの共鳴腔を感じながら歌う事が大切です。
そうする事で声が綺麗に響くようになり、豊かな声量を得られるようになります。
3.なぜ喉を開けて発声をする事で、声帯の疲労を最小限に抑えられるの?
喉は開けて発声を行う事で、声帯がリラックスした状態になるからです。
逆に喉を締めると、声帯の締め付けも強くなり消耗しやすくなります。
なので低音域から高音域まで、常に喉が開いてる状態を維持できるようにしましょう。
喉を開ける方法
まず先程も申し上げたように喉が開いてる状態とは、喉が下がっていて、軟口蓋が上がっている状態の事です。
この2つが習得できて、始めて喉が開いてる状態というのを習得できるようになります。
喉を下げる方法
喉と舌根というのは連動しています。
なので舌根を下げれば喉が下がるようになります。
喉頭を下げる為の具体的な説明はこちら
あくびをする感覚
またあくびをするイメージも有効です。
あくびをするイメージを持つことで、舌根が下がり、喉頭腔を広く確保しやすくなります。
しかしこれだけでは、軟口蓋を上げる所までは辿り着きません。
高度な技術ではありますが、軟口蓋を上げる事で、喉は更に広がり、鼻腔共鳴も得られるようになります。
軟口蓋を上げる方法
口を大きく開いて、びっくりした時のイメージで息を「ハッ」と吸い込んで下さい。
その時は軟口蓋が上がっている状態です。
しかしこれを保ちながら歌う事が難しく、訓練が必要になります。
どうしたら軟口蓋を上げた状態を保ったまま歌えるの?
その為には、呼吸や支えの技術が必要です。
正しい呼吸を取り、お腹や背中で支える事で、丹田から軟口蓋までが太い筒で繋がり、軟口蓋を上げる事が出来ます。
先程も申し上げましたが、声は骨盤から背骨、うなじ、後頭部を通って額から発せられるものです。
この一連の声の方向性が掴めるようになれば、確実に軟口蓋は上がるようになります。
最終的な声の出口は口では無く、額だという意識を持って、支える所から技術を習得しましょう。
軟口蓋は物理的にどのくらい上がってるの?
物理的には何ミリも上がっていません。
実際は上がっている訳ではなく、ドーム状に張っている状態です。
しかしこれが歌っている時は上がっている感覚になります。
軟口蓋と額の感覚に関連する記事と動画です。
こちらも是非ご覧ください♪
https://youtu.be/SphGkQVgMJE
https://youtu.be/2yBm54C-dAg
喉を下げる事と、軟口蓋を上げる事の両方を意識して練習しよう
このように声は喉頭腔だけではなく、鼻腔の空間を広く保つ事も大切です。
逆にそこが潰れてしまうと、声の響きは低くなり、いわゆる喉声という状態に陥ってしまいます。
ただ、技術というのは全てが連動してるので、まずは呼吸や支えなどの基礎的な所から習得しなければ、これらの技術も習得する事ができません。
なので必ず体の使い方をまず習得して、それから声の勉強をするようにしましょう。
声の響きに関連する動画はこちら
まとめ
少々長い解説でしたが、いかがでしたでしょうか?
大切な事なので繰り返しますが、これらの技術は全て連動して行われなければいけません。
例えば呼吸の技術が未熟だと、支える事も、喉を開ける事も、軟口蓋を上げる事も出来るようにはならないという事です。
スポーツ同様、まずは基礎的な所から徹底的に訓練をする事で、その後の応用に繋げられるようになります。
ただがむしゃらに練習をするのではなく、このような発声理論を理解し、正しいイメージを持つことが大切です。
そして出来れば呼吸や支えの練習はなるべく毎日行いましょう。
毎日練習をする事で、発声は格段に良くなります。
地道な練習ですが、コツコツ練習しましょう。
最後に
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
私は現役の声楽家であり、オペラを専門とする者ですが、発声の基礎は、声を扱う全てのジャンルに共通するものだと確信しております。
「基礎から応用」という事で、少々難しい技術についてもお話しましたが、習得出来るようになれば必ずあなたの本当の声に出会えるようになります。
自分の中に潜む真の声を目指して、今後も訓練に励んで頂ければと思います。
LEE
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